AIに仕事を頼むと、途中で「AとB、どちらにしますか」と聞かれる。社員からも「これ、どうしましょう」が届く。気づくと社長の一日は、こうした小さな確認で埋まっていきます。
結論から書きます。AIに任せられる判断の範囲は、AIに社長の答えを先に予測させ、答え合わせを積んでいくと見えてきます。 勘で線を引くより、外れ方を見て決める方がずっと楽です。
規模や業種を問わず、こんなことはよく起きています。
- 任せたはずの仕事が、社長の確認待ちで止まっている
- 前にも同じことを聞かれた気がする。でも前回なんと答えたか、自分でも覚えていない
- 「社長ならどうしますか」に、社員が先回りして答えられない
- AIに任せると、無難な一般論で決めてしまいそうで怖い
この記事では、Notion AIの最近の変化を「帰る前に仕事を預けて、翌朝受け取る」場面で紹介します。そのうえで、長く任せられるようになっても社長に判断が戻ってくる理由と、当社がAIの予測と自分の答えをどう残しているかをお伝えします。最後に、明日から試せる工夫と、合う会社の目安をまとめました。
Notion AIのエージェントに、長い仕事を預けられるようになった
これまで:一往復ずつ、区切って頼み直す
AIとのやりとりは、基本は一往復ずつでした。長い作業は小分けにして頼み、続きはまた説明し直す。帰る前に頼んだ仕事が、翌朝見ると途中で止まっている。そんな経験がある方も多いと思います。
変わったこと:1つの作業を24時間以上続けられる
2026年10月19日、NotionはNotion AIのエージェントを作り直し、1つの作業を24時間以上続けられるようにしたと発表しました。あわせてAIの利用の料金の仕組みも変わり、今の契約は11月2日に新しい仕組みへ移るとのことです。細かい所はNotionの公式ブログ(2026年10月19日)でご確認ください。
仕事での使い方:夕方に頼んで、翌朝に受け取る
たとえば夕方、「今月の問い合わせを案件ごとに整理して、返信の下書きまで作っておいて」と頼んで帰る。翌朝、続きの説明をし直さずに結果を受け取る。こうした頼み方が、現実的になってきました。
ポイント 変わったのは、AIに任せられる「時間の長さ」です。小分けにして見張っていた作業を、まとめて預けられるようになりました。
長く任せるほど、途中の「どちらにしますか」は増える
使っていて惜しいと感じるのは、ここです。作業が長くなるほど、途中で判断の分かれ道に当たります。お客様に出す文面の言い回し、どの案で進めるか、いつ確かめるか。
AIはそこで止まって聞くか、一般的に無難な方で進めるか、になりがちです。止まれば朝まで進まない。進めば、社長の考えとずれることがある。どちらも、AIが「この会社の社長ならどう決めるか」を知らないところから来ています。
公平に書いておくと、これはNotionでも工夫で埋められます。社長の判断の基準を1枚のページにまとめておけば、エージェントはそれを読んで進められます。難しいのは、そのページが育ち続けるかどうか。基準は書いた日から少しずつ古くなり、外れた判断を誰かが書き足さないと、いつの間にか読まれなくなります。
会社の記憶に、社長の「たぶんこう決める」を先に書かせる
会社の記憶は、会社で決まったこと、仕事のやり方、案件の経緯を、どのAIからも読める形で1か所に置いた会社のノートです。当社ではAIをMCPでこのノートにつないでいます。MCPは、AIと外の道具をつなぐ共通の差し込み口のようなものです。つないだAIは、会話の途中でノートを読みに行き、決まったことが出れば書き足します。使うAIが違っても、読むノートは一つです。
このノートに、私の判断の癖をまとめたメモと、判断の「予測と答え合わせ」の表を置いています。AIは私に判断を聞く前にそれを読み、「伸二ならこう決める」を項目ごとに書いてから聞きます。私が答えたら、予測・実際の答え・外れた理由を一行に並べて残します。
長く付き合った番頭さんが、社長に聞く前に「たぶんこうですよね」と言えるようになるのと似ています。違うのは、その「たぶん」が全部書いて残っていて、当たり外れを後から数えられることです。
10月6日から26日までに答え合わせをした判断は95件、そのうち81件が予測どおりでした。数字そのものより役に立ったのは、外れ方に偏りがあったことです。
| 比べる所 | 予測が当たりやすい判断 | 外れやすい判断 |
|---|---|---|
| 種類 | 段取り・進め方 | 見せ方・作り方 |
| 例 | 何から移すか、いつの時点で確かめるか | 提案書の図をどの案にするか、報告書の見た目 |
| 任せ方 | 予測どおり進めて、あとで報告 | 予測を付けたうえで、本人が決める |
外れは「見せ方・作り方」に寄っていて、段取りの判断はほぼ当たっていました。なので当社では、お客様の目に触れない段取りの判断から任せ始めています。
ポイント 予測・答え・外れた理由を一組で残す。これが積み上がると、「どの種類の判断なら任せていいか」を勘ではなく記録で決められます。
こうした記録の置き方は、会社ごとに向く形が違います。業務改善のご相談の中で、御社の判断の流れに合わせて組み立てています。
外れた1件と、6件そろった朝
10月19日 「こちらが早く始められる方」を外した
記憶の仕組みを導入する会社に、ノートへつなぐための許可をどう出してもらうか。AIの予測は「最初の1社は、こちらがすぐ始められる方法で。需要が見えたら、導入先の手間が少ない方法に切り替える」でした。
私が選んだのは、最初から導入先の手間が少ない方法です。
「この設定を面倒がられたら意味がないので」
今日から動くかより、導入先が面倒に感じないことを先に取った。AIはこの理由を、外れた理由として一行で残しました。次に同じ種類の判断を予測する時、AIはこの一行も読んでから書きます。外れは、そのまま次の予測の材料になります。
10月26日の朝 確認6件が、予測どおりだった
夜のうちにAIが会社の仕組みの手直しを進め、私に確認してほしい判断が6つ残りました。朝、それぞれに「伸二ならこう決める」が付いた形で届き、私の答えは6つとも予測どおり。返事は「提案の内容でOKです」の一言で済みました。
「正直ほっとした。任せていい範囲が見えた」
その朝のうちに、夜の作業で出る確認は予測どおりで進める、と決めています。私が任せる線は、前からこう置いていました。
「顧客に情報が表示されない限りは判断を AI に移行したい」
お客様の目に触れない内側のことは、予測で決めて見せてもらえばいい。お客様に見えるもの、特に見せ方は、今も自分の目で見て決めます。上の表の偏りと、ちょうど重なっていました。
Notionでできること、記憶の仕組みで足していること
| やりたいこと | Notionでは | 当社の記憶の仕組みでは |
|---|---|---|
| 社長の判断の基準を残す | ページにまとめれば、エージェントも読める | 予測が外れるたびに、理由を一行足して育てる |
| 確認を頼む | コメントやメンションで頼める | 予測を先に付け、社長には違う所だけ聞く |
| 任せる範囲を決める | 人が経験で決める | 予測と答えを並べ、当たり続けた種類から任せる |
| 使うAI | Notion AIや、つないだエージェント | メンバーが別々のAIを使っても、同じノートを読む |
社内の仕事がほぼNotionの中で完結していて、基準のページを書き足す担当を置ける会社なら、Notionで十分回せます。当社が足しているのは「書き足す手間」の側で、答え合わせが仕事の流れの中で自然に残るようにしています。
明日から試せることと、合う会社の見分け方
道具を変えなくても、確認の出し方を少し変えるだけで始められます。
- 確認を出す側が「社長ならこう言うと思う」を一文添える。 社長は違う所だけ直せばいいので、返事が速くなります
- 外れたら、なぜ外れたかを一行残す。 「お客様が見慣れた形を優先した」くらいの短さで足ります
- 判断を種類で分けて、当たり外れを数える。 段取り、見せ方、お金、人。偏りは意外と早く見えてきます
- 当たり続けた種類は「事後報告でいい」に切り替える。 後から戻せるものから始めると、任せる側も気が楽です
合う会社。 社長が判断の窓口になっていて、確認待ちで仕事が止まりがち。同じような判断が繰り返し来る。AIや社員に任せる範囲を広げたい。
合わない会社。 判断が毎回まったく新しく、繰り返しがほとんど無い。あるいは、すでに現場に任せきれていて、社長に確認が上がってこない。こうした会社では、予測を積む手間の方が大きくなります。
まとめ Notion AIのエージェントで、預けられる仕事の時間は長くなりました。途中で戻ってくる判断は、AIに社長の答えを先に予測させ、答え合わせを会社の記憶に残していくと、任せていい種類が記録で見えてきます。
御社なら、どの判断から予測を付け始めるのがいいか。お問い合わせから気軽に声をかけていただければ、何から残すか一緒に整理します!


