AIに資料の直しや社内の作業を任せると、最後にこんな一言が返ってくることがあります。「次の実行で確認します」「明日の朝の回で確かめます」。
丁寧な報告に見えます。ただ、こんなことは起きていないでしょうか。
- 「次で確認します」と言われて、そのまま待っていいのか分からない
- 翌日に見たら、結局直っていなかった
- 「直したら確かめて」と、同じ注意を会話のたびに言い直している
- 人によってAIへの頼み方が違い、確かめる人と確かめない人がいる
先に結論を書きます。確認を後に回してよいかは、AIではなく人が決めることです。 そして、その決まりは1か所に書いて、どのAIにも読ませておくのがいちばん効きます。
この記事では、GeminiのGemやスキルで「毎回の注意」をどこまで書き置きできるかを紹介し、そのうえで当社が実際に先送りを止めた日の出来事と、明日から書ける確認の決まりをお伝えします。
Geminiのスキルで、毎回の注意を書き置きできる
Googleドライブにある提案資料を、Geminiに直してもらう場面で考えてみます。
これまで:注意は毎回、口で添えていた
「この表の数字を新しいものに差し替えて」と頼む。そのたびに「直したら合計が合っているか見て」「分からない所は勝手に埋めないで」と添える。言い忘れた日に限って、合計がずれたまま返ってくる。そんな経験がある方も多いと思います。
この注意を書いておける場所として、GeminiにはGemがありました。決まった指示を入れた専用のGeminiを作っておき、毎回それを呼び出す使い方です。
変わったこと:Gemの役目を「スキル」が引き継ぐ
Googleは2026年9月30日、何度も使える指示「スキル」がGemの代わりになると発表しました。仕事用のアカウントでは、早くても2027年3月1日にGemが使えなくなるとしています。10月13日の更新では、Geminiアプリへの提供は始まった一方、Workspaceへの提供は遅れていると伝えています(Google Workspace Updates)。
Gemに社内の注意を書き込んでいる会社は、移る先としてスキルを知っておくと慌てずに済みます。
仕事での使い方:確かめ方まで指示に書く
スキルやGemに書くなら、作業の中身だけでなく「終わった後にどう確かめるか」まで入れておくのがおすすめです。たとえば、こんな一文です。
- 直したら、直した箇所と、直した後に確かめた結果を一緒に返す
- その場で確かめられない所は、そう書いたうえで私に聞く
これだけで、「直しておきました」で終わる返事がかなり減ります。
ポイント 毎回口で添えていた注意は、Geminiのスキル(今はGem)に書き置きできます。作業の手順だけでなく「確かめ方」と「迷った時は人に聞く」まで書くと、返ってくる報告の質が変わります。
惜しいのは、その書き置きを読むのがGeminiだけなこと
使っていて感じる惜しい所は一つです。書き置きは、その道具の中にしかありません。
社内で別のAIも使っている。担当によって、ChatGPTの人もいればClaudeの人もいる。そうなると、Geminiに書いた「直したら確かめる」は、ほかのAIには届きません。注意を書いた人が替われば、なぜその一文があるのかも分からなくなります。
そこで当社が使っているのが「会社の記憶」です。会社で決まったこと、仕事のやり方、案件の経緯を、1か所のノートに残しておく。そこへ社内のAIをつなぐと、AIは仕事の前に自分から会社のノートを読みに行きます。
つなぎ方にはMCPを使っています。MCPは、AIが外の記録を読み書きするための共通のつなぎ口のようなものです。種類の違うAIでも、同じ会社のノートを読んで、同じ決まりで動けます。
「今夜と明朝で確かめます」と言われた日
10月28日のことです。毎日決まった時間に自動で動く社内の仕組みが、3つ止まっていました。たとえば一つは、表のシートの名前を変えたせいで、それを読んでいた仕組みが表を見つけられなくなっていたものです。
AIと一緒に原因を調べて直し、本番に反映しました。その後のAIの報告が「今夜の回と明朝の回で、直ったかを確かめます」でした。
| いつ | 何が起きたか | どうしたか |
|---|---|---|
| 朝〜昼前 | 止まっていた仕組み3つをAIと直し、本番に反映した | AIは「次の定期実行で確かめる」と報告した |
| 昼前 | 報告を読んで、待つ理由がないと気づいた | その場で「今やりましょう」と返した |
| 同じ会話の中 | 他の会話でも同じ待ち方が目立っていた | 今回だけでなく、決まりにしてほしいと伝えた |
| その直後 | 決まりが会社のノートに書かれた | 社内のどのAIも作業の後に読む決まりに加わった |
そのとき私が返したのが、この言葉です。
「今やりましょうよ。直ったかどうかの確認後は定期実行にすべきですけど、明日エラーがあれば意味のない時間をただ待つだけです。他の会話でも目立つので、少なくともかならず聞いてから選びません? 強制ルールにして欲しい」
車の修理に例えると分かりやすいと思います。ブレーキを直した後、試運転をせずに「来週の定期点検で見ておきます」と言われたら、そのまま乗って帰る人はいません。直したその場で一度走らせて、確かめてから渡すのが普通です。
決まりの中身は、次の3つです。
- 直して本番に反映したら、次の回を待たず、その場で本番を動かして直ったかを確かめる。確かめる入口が無ければ作る
- どうしても待つしかない時は、AIが勝手に「待つ」を選ばず、必ず人に聞いてから決める
- 直ったと確かめた後は、いつもの定期実行に戻す
会社のノートには、この決まりと一緒に「理由」と「退けた案」も残っています。理由は、明日の回でまた失敗したら、それまでの時間がただ待っただけになるから。退けた案は、AIが最初に出した「次の定期実行の結果で確かめる」です。
後からこのノートを読んだAIも人も、なぜ待たないのか、何を選ばなかったのかまで一緒に受け取れます。決まりだけが残っていると、そのうち「今回は待ってもいいか」と崩れやすい。理由がそばにあると、崩れにくくなります。
こうした「一度の指摘を、会社の決まりに変えて残す」作り方は、業務改善のご相談でもよく一緒に整理している所です。
Geminiのスキルと会社の記憶、置き場の分け方
どちらが優れているかより、注意を「誰に」守ってほしいかで置き場が決まります。
| 比べる所 | Geminiのスキル(Gem) | 会社の記憶 |
|---|---|---|
| 読むのは誰か | その指示を呼び出したGemini | MCPでつないだ社内のAI。種類を問わない |
| 理由や退けた案 | 書けば残るが、指示の文に混ざりやすい | 決まり・理由・退けた案を一組で残す |
| 向く会社 | Googleの道具の中で仕事がほぼ完結している | AIを複数使う、担当ごとに使うAIが違う |
Googleの道具で仕事が回っていて、使うAIもGeminiに決めている会社なら、スキルに確かめ方まで書くのがいちばん手軽です。複数のAIを使い分けている会社や、注意を書いた人が替わっても理由まで残したい会社は、会社の記憶のように1か所に置く方が続きます。
明日から書ける、確認の決まり
道具を変えなくても、AIに渡す決まりを一組にするだけで先送りはかなり減ります。
- 直したら、その場で確かめる。 確かめた結果まで報告に入れてもらう
- 待つなら、人に聞く。 「次の回で」「明日の実行で」が出たら、待つかどうかはこちらが決める
- 確かめた後は、いつもの運用に戻す。 毎回つきっきりにはしない
もう一つ、報告の中に「次で」「後で」という言葉が出てきたら、何を待っているのかを一度聞き返してみてください。待つ理由が無いことは、意外と多いです。
私は、AIの報告にある「〜しました」「〜で確かめます」は、実物で裏を取るまで完了と見ないようにしています。待つか今やるかは、時間の使い方を決める判断です。そこはAIに任せず、人が持っていた方がいい。一度そう決めて書いておけば、次の会話からは同じことを言い直さずに済みます。
まとめ GeminiのスキルやGemには、作業の後の確かめ方まで書き置きできます。使うAIが一つに決まらない会社は、「直したらすぐ確かめる・待つなら人に聞く・確かめたら元の運用へ」を理由と一緒に1か所に残すと、どのAIとの会話でも同じ先送りを繰り返さずに済みます。
御社のAIへの頼み方で、どの決まりから残すとよいか。一緒に整理しますので、気になった時にお問い合わせから気軽に声をかけていただけたら嬉しいです!


